医療福祉支援ロボットの社会的意義

近年,少子高齢化・人口減少といった社会的背景から,人間作業の支援または代替が可能な,知能ロボットの必要性が高まっている.このニーズの一つとして,手術ロボット,生活支援ロボット,リハビリテーションロボットなど医療福祉分野における様々なロボットの研究がなされている.

手術支援ロボット

近年,患者自身のQOL(Quality of Life)向上へ貢献する等の医学的なメリットに加えて,社会・経済に対する大きな貢献も見込まれるため,患者の身体的負担を最小限に抑制する手術(低侵襲手術)に対する取り組みが盛んに行われている.手術の低侵襲化を目指して,手術支援ロボット等の様々なコンピュータ技術を用いた手術支援システムが開発されており,これらを用いたコンピュータ外科が未来医療の主役を担うと期待されている[1-1][1-2].

コンピュータ外科を支援する機器は,機能や利用形態から,Table1.1に示すように(a)手術支援ロボット,(b)プランニングシステム,(c)ナビゲーションシステムの3つに大きく分けられる.(a)手術支援ロボットは,コンピュータを用いたロボット技術により,より精確で確実な手術を遂行することを目的とし,実際の治療行為を行う治療機器である.(b) プランニングシステムは,手術環境を仮想的な空間上で再現し,それを用いて手術のプランニングをすることに用いる.また,(c)ナビゲーションシステムは,超音波診断画像,MRIやCTで得られた術前画像の座標系と実空間の座標系の関係を光学式・磁気式あるいは機械式の3次元位置計測装置を用いて測定し,統合した座標系を元にナビゲーション画像を生成・術者に提示する機能を提供する.現在,上記(a)(b)(c)のシステムを統合した手術支援システムが研究・開発されている.例えば,内視鏡下手術支援システム「da Vinci®: Intuitive Surgical社」や「ROBODOC®: Integrated Surgical Systems社」のような研究開発・実用化が行われており,コンピュータ外科が臨床の現場で活躍しつつある.

生活支援ロボット,リハビリテーションロボット

Under construction

[1-1] 下山 他, ”ロボットフロンティア”, pp.106-125, 岩波書店, 2005

[1-2] R. H. Taylor and D. Stoianovici “Medical Robotics in Computer-Integrated Surgery”, IEEE Transaction on Robotics and Automation,Vol. 19, No. 5, 2003