研究のアイデアと仮説思考

前回のTipsにおいて,論文や提案書のコアとなる研究のアイデアに関して述べた.今回のTipsにおいては,アイデアにおける「仮説」という考え方に関して述べていきたい.

アイデアを明確にすることの重要さ: 論文執筆等のポイント」の実験結果に述べたとおり,論文執筆においては,実験結果がアイデアを実証している必要がある.一方,当たり前のことではあるが,研究の途中,研究のアイデアは考えた実験前の時点では,実験結果は存在しない.そのため,研究を実施するためには,「実験を実施する前に結果をある程度予測しつつ,インパクトを出せる結果を創出する必要」がある.その際に使うのが「仮説」という考え方である.

「仮説」とは,「仮(かり)の説(せつ)」のことであり,(まだ実証はできていないが)「現在の時点で最も答えに近いと思われる説」である[1].研究の途中では,「研究のアイデア」はまだ「仮説」の段階であり,実験的な検証ができた時点で「実証された説」となる.つまり,研究の最後の実験的検証の前までは,「研究のアイデア=仮説」という関係がなりたっている.

つまり,いい研究を実施するということは,①インパクトのある仮説をたてられ,②それを実験的に実証する,という二段階からなる.この際に,②実験的実証に関しては,論理的な思考に準じることであり,多くの研究者が悩むのは,①如何にインパクトのある仮説をたてるか,ということである.いい仮説の立て方は,「研究のアイデアって何?」でも記載したとおり,研究者(各専門家)の経験と感に依存する部分が多いのが実際かと思う.ただ,私の経験上,いい「研究のアイデア」を出すためには,たくさんの「仮説」が必要である.たくさん考えついた「仮説」の中で一番実証すべきこと,実証できたらインパクトがあることは何か?,と問い続けることでいいアイデアが熟成されていく.逆にいれば,「それはまだ分からないから(実証されていないから)」といって,思考を止めてしまうと,いいアイデアは出てこない.いい「仮説」が思いついたら,信頼している周りの人に聞いてみて,本当に価値のある「仮説」かをしっかりと考えて頂きたい.思いついたすべての仮説を実証していく時間は現代社会では存在しないため,本当にインパクトのある仮説だけ実証していって欲しいと思う.

[1] 仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法 
http://www.amazon.co.jp/%E4%BB%AE%E8%AA%AC%E6%80%9D%E8%80%83-BCG%E6%B5%81-%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%99%BA%E8%A6%8B%E3%83%BB%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%AE%E7%99%BA%E6%83%B3%E6%B3%95-%E5%86%85%E7%94%B0-%E5%92%8C%E6%88%90/dp/4492555552
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