穿刺(注射)支援ロボット

近年,患者自身のQOL(Quality of Life)向上へ貢献する等の医学的なメリットに加えて,社会・経済に対する大きな貢献も見込まれるため,患者の身体的負担を最小限に抑制する手術(低侵襲手術)に対する取り組みが盛んに行われている.手術の低侵襲化を目指して,手術支援ロボット等の様々なコンピュータ技術を用いた手術支援機器が開発されており,未来医療の主役を担うと期待されている.手術支援ロボットを導入する最大の目的の一つは,人間によるミスを限りなく0に近づけ,低侵襲かつ安全で信頼性の高い治療を実現することである.しかしながら,現在の手術支援ロボットでは,マスタ-スレイブ方式等を用いてロボットの動作決定を医師に依存する形態を用いており,治療成績は医師の技量に大きく影響されるのが現状である.そのため,ロボットの持つ定量性や精確性を十分に活かすことが可能な,自律的な動作により手技を実施する手術支援ロボットの完成が期待されている.


自律的な動作の実現が最も期待されている手技の一つに穿刺が挙げられる.穿刺治療では,回避すべき組織を避けながら目的とする組織に針の先端を精確に到達させることが要求される.そのため,精確な位置決めが可能なロボットを穿刺治療に導入する利点は大きい.しかしながら一方,穿刺時に生じる臓器の変形により目標組織や回避すべき組織の位置が変化するため,安全で精確な穿刺を実現するためには臓器の変形を考慮にいれて穿刺を実施する必要がある.よって,自律的な動作により精確な穿刺を実現するためには,臓器変形を推定・予測して穿刺経路を決定する知能が穿刺支援ロボットに必要となる.


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