震戦(ふるえ)を抑制するロボットの開発

 振戦とは不随意で律動的な身体の動作(ふるえ)を指す医学用語である.その中でも本態性振戦はもっとも頻度が高く,65歳以上では5%の割合でみられる.しかし,本態性という名称が示す通りそのメカニズムは解明されておらず,抜本的な治療が確立されていない.対処療法として,関節角度を拘束する装具を用いて振戦を抑制する手法は,手首関節においては一部利用する患者が存在する.しかし肘関節が拘束された場合は日常生活動作(ADL)の阻害が著しいため,肘の伸屈もしくは前腕の回内外において振戦がみられる患者が肘装具を利用することはない.

 そのため,振戦を抑制する性能を持ちつつも,装着者が意図する肘関節角度の変化に追従し,動作支援を行えるロボット肘装具の開発を実施している.本研究では,本態性振戦患者の上肢動作を対象として,表面筋電位から振戦情報成分を分離し,使用者の意図する姿勢を推定する.特に,(1)振戦の影響によって姿勢保持時にロボットが動作する誤認識が起こらないこと,(2)追従誤差の影響によりロボット装具から使用者が外力を受け,意図が変化しないこと,この2つを開発するシステムの要求仕様として設定した.これらを解決するためにまず,本態性振戦患者の肘関節動作と表面筋電位信号の解析し,振戦発生時の筋電波形を基底波に近似することで特徴付けを行った.その後,基底波との類似度を基準とした振戦情報成分の分離アルゴリズムを構築し,これを用いた肘関節屈曲動作認識率の評価を行った.最後に,上肢運動モデルに基づく肘関節角度推定を行い,これを実装したロボット肘装具の動作支援を評価した.
【参加機関: 早稲田大学,菊池製作所】 
【主要研究実施者: 早稲田大学 関雅俊,松本 侑也 】



n国際会議報告(査読あり フルペーパー)

1. Masatoshi Seki, Yuya Matsumoto, Takeshi Ando, Yo Kobayashi, Hiroshi Iijima, Masanori Nagaoka, Masakatsu G. Fujie, ”Filtering Essential Tremor Noise on surface EMG based on Squared Sine Wave Approximation”, in Proceeding of the 33rd Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC’11), pp.7487-7491, 2011

2. Masatoshi Seki, Yuya Matsumoto, Takeshi Ando, Yo Kobayashi, Hiroshi Iijima, Masanori Nagaoka, Masakatsu G. Fujie, “Development of Robotic Upper Limb Orthosis with Tremor Suppressiblity and Elbow Joint Movability -Extraction of Elbow Flexion Movement Using Powerd Sine wave Filter-”, in Proceedings of 2011 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics (SMC’11), pp.729-735, 2011

3. Masatoshi Seki, Yuya Matsumoto, Takeshi Ando, Yo Kobayashi, Hiroshi Iijima, Masanori Nagaoka and Masakatsu G. Fujie, “The Weight Load Inconsistency Effect on Voluntary Movement Recognition of Essential Tremor Patient”, 2011 IEEE International Conference on Robotics and Biomimetics (Robio’11), pp. 901-907, 2011

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